よく画面デザインにおける「縦が長くてスクロールさせてしまう」ことへのネガティブな意見が出ることがある。デザイン批評は歓迎するべきとはいえ、この考え方について私は前提があると思う。
まずそもそもスクロールという手段はユーザーにとって慣れていてそんなに苦ではなく、苦というのは理解するのが難しいのに読まされる体験で、それが今言った前提ってやつ。それよりもマンガを縦スクロールで読む体験に近いほど、コマの間隔が適切に取られていてスルスル読めるほうがむしろ心地良いという気持ちを持っていて、私が提案する画面デザインに関しては少なくとも詰め込もうという行為は逆に良くないと思っている。
むしろストーリー型を検討する
「データの列挙」ではなく「何を理解してもらいたいか?をストーリーとして構成するストーリー型」として考えたうえで、
UX研究者Therese Fessenden(NN/g)の実務的な目安として
- スクロール量よりも、各セクションの認知完結性が重要
- 「スクロールして次に進む」は、ユーザーの能動的選択として機能する限り問題ない
- 長い縦スクロール vs 多階層タブ → 後者のほうが認知負荷が高いケースが多い
という前提を理解しつつ、「縦に長い」を「それだけで左右するべきでなない」と議論するためにこういった研究があったので挙げてみる。
1. Cognitive Load Theory(John Sweller, 1988〜)
スウェラーの認知負荷理論では、ワーキングメモリの容量制限が学習の主要なボトルネックとされる。情報を密に詰めるよりも段階的に提示するほうが、外在的認知負荷(extraneous load)が下がる。
2. Progressive Disclosure(Jakob Nielsen / NN/g)
NielsenはUX原則として「Progressive Disclosure」を推奨している。画面が長いことは問題ではなく、各時点でユーザーが処理すべき情報量が多いことが問題、という整理。スクロールは「次のステップに進む合意」として機能するので、ユーザーが能動的にスクロールする限り認知負荷は上がらない。
参考:NN/g "Progressive Disclosure"
3. Chunking(George Miller, "The Magical Number Seven", 1956)
情報を意味のあるまとまり(チャンク)に分割すると、ワーキングメモリの負荷が減る構造は、チャンクに分割することでミラーの法則の容量内に収まる。
4. Narrative Transportation Theory(Green & Brock, 2000)
ストーリーに「没入する」と、説得力が高まり、批判的検討が減るという研究。目的が「安心して情報を受け取ってもらう」ことなら、ストーリー型UIは説得手段として理論的にも妥当。